「知里10周年記念ディナーショー」を振り返って
インターネットでライブ
ファンから寄せられるコメントを見ながら知里が生トーク
知里の2回目のツイキャスによるライブ配信が、2020年12月6日(日)に行われた。
内容は、2020年11月29日(日)にグランドニッコー東京ベイ舞浜で行われた「知里10周年記念ディナーショー」の録画映像を視聴者と一緒に観ながら、次から次へと寄せられるコメントを見ながら、知里が感謝の言葉やステージの裏話など語りながらファンと楽しむといった趣向である。
ディナーショーの模様は全画面で映し出され、右下に小画面でスタジオで撮影中の知里の顔が映し出されている。そうした技法をワイプと呼ぶようである。
ワイプ出演の知里は、ディナーショーが流れているときは、音声が重なるので長くは話すことができないが、ひと区切りがつくと小画面が全画面になり、知里が思いの丈を語り始める。
インターネットのライブ中継は、知里が「ツイキャスでライブをする日が来るなんてことは一年前では全く思いませんでした。」と語っていたようにコロナ禍だからこそ実現できたのだろう。危惧するのは、演歌・歌謡曲の愛好家は高齢者が多く、ネット配信は敷居が高いのではないかということ。しかし当日参加された方々はなんとかがんばってツイキャス視聴まで辿り着けた方々なのだろう。
さて、ディナーショーの模様だが、「素晴らしい」の一言である。
「すごい!」とか「かっこいい!」といったコメントが数多く寄せられていたことからも視聴者が感動して観ていることが目に浮かぶ。
デビュー前の知里は、教会で賛美歌を歌ったり、オールディースやポップス、クラシック、ジャズを歌い、どちらかというと洋楽がお似合いで、演歌はどちらかというと知里にとっては歌いたくないジャンルだったのではないだろうか。そんな彼女が、今回、着物姿でステージに現れたのだから大変驚いた。
2017年に行われた7周年記念では、麻こよみ作詞、岡千秋作曲の「花艶歌」を披露。このときの衣装は着物とドレス半々の和洋折衷であった。おそらく演歌も歌ってはみるが、いつでも演歌のジャンルから抜け出せる状況を作っておきたいという印象を受けた。
ステージに登場して1曲目に2017年リリースの「花艶歌」、2曲目に2018年リリースの「あなたの女です」を披露する。そしてステージから降りて、場内を回りながら細川たかしの「浪花節だよ」と「北酒場」、中村美律子の「河内おとこ節」をメドレーで熱唱。
知里は2010年にデビューしたが、その時、一番に覚えなければいけなかった歌が北島三郎の「北の漁場」だったとかで、これが演歌を本格的に歌った最初の歌ではなかっただろうか。
知里のデビュー曲は「やさしい日々」とカップリングの「ひこうき雲の先に・・・」で、両曲とも山本譲二の「みちのくひとり旅」を手がけた三島大輔氏が作曲。三島氏は著名な演歌歌手の作品を数多く手がけているが、こと知里に関しては、当時、知里らしい歌を作曲されたように感じる。
知里は、客席を回ったあと、サブステージに上がると三島先生作曲の「ひこうき雲の先に・・・」を披露。
知里が、演歌・歌謡曲の世界で歌うきっかけとなったのは、三島先生との出会いだと思うが、演歌に挑戦して、多種多彩なジャンルの歌を歌う歌手に仕立てたのは母、金子美津子氏によるところも大きいように思う。
金子美津子氏が、「知里の殻を破った曲はないですか」とレコード会社のディレクターに相談したら「知里らしくない歌を歌わせよう」ということで出来上がった曲が「花艶歌」である。
それから3年後の今回、知里は演歌を受け入れて演歌を素直に歌える歌手になったようだ。
着物姿の知里はとてもよくお似合いで「かわいい演歌歌手」といった出で立ちであった。
さらに驚かせたのは和太鼓を叩く知里であった。10周年の勝負曲「華ロック」のプロモーションビデオに出演している和太鼓奏者、西村史雄氏がステージに登場し、知里と共演。
知里は、西村史雄氏の太鼓演奏のもと、「華ロック」と村田英雄のヒット曲「無法松の一生」を熱唱し、自らも太鼓演奏を披露した。
3年かけるところを3ヶ月でお披露目しなければならなかったので、修得まではいかなかったと言っていたが、見事なばちさばきは、幼い頃から太鼓一筋で取り組んでいるような腕前であった。改めて本人の能力の高さに驚かされた。
後半は前半の和風とは全く違う趣向のステージで、ドレス姿で熱唱
1曲目に静かな曲調から突然シャウトして激しい曲調に変化するX JAPANの「紅(くれない)」
2曲目に2012年リリースの「追いかけて」
3曲目に2014年リリースの「東京恋歌」
4曲目に最新曲「華ロック」のカップリング「抱きしめて」
5曲目に伊藤久男の「イヨマンテの夜」
6曲目に中森明菜の「ミ・アモーレ」
7曲目はピアノ弾き語りでデビュー曲の「やさしい日々」
8曲目にテレビアニメ「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華(ぐれんげ)」
そしてラスト曲は、千葉ローカル線・銚子電鉄が制作した映画「電車を止めるな!」のエンディング曲に採用されて話題となった2016年リリースの「虹のかなたに」
これで最後の締めとなる筈だったが、司会の青空キュート氏が「このままエンディングを迎えるのは淋しい」とファンと一緒にアンコールをリクエスト。
知里は、アンコールに応えて、レースを羽織って会場に再登場し、1曲目に映画「君の名は」の主題歌になった織井茂子の「黒百合の歌」。2曲目に現在の知里を育てたと言っても過言ではない、「自分にとってターニングポイントとなった曲」と知里が教えてくれた、セリーヌ・ディオンの「To Love You More」を大熱唱して締めくくった。
後半のステージは、全身全霊の歌声が圧巻でスケールが大きく迫力があり、パワフルな大声量にぐいぐい引きこまれていってしまった。
これが知里本来の歌唱姿なのかも知れない。
知里は、演歌も洋楽も歌うオールラウンド歌手としてこれからも一層活躍していくことになるのだろう。
なお、バックの生バンドの演奏は演歌から洋楽まで幅広いジャンルを見事に演奏して知里を盛り上げた。
○ ピアノ&シンセサイザー:Hiromi
○ サックス&フルート:八巻綾一
○ ギター:寺屋ナオ
○ ベース:石田 純
○ パール ドラム:坪根剛介
知里は、「できる人数でがんばってみんなで作り上げたステージ。コロナ禍でもあり、開催できるのかドキドキだったけど、皆さんの熱いご支援のお陰で無事に開催できました。」と何度も感謝の言葉を述べていたのが印象深かった。
ディナーショーは通常一回開催したらそれで終わってしまうものだが、ツイキャスを利用すると、あとからファンと一緒に振り返って楽しむことができるので、それは大きな醍醐味である。
知里がこれからも多くの人に夢と感動を与えるアーティストであり続けることを心から願っています。
そしてますますのご精進とご活躍をお祈りします。
知里オフィシャルウェブサイト
投稿:シンガープロ 安藤秀樹
2021年1月18日(月)