BON.井上 『レイニー ブルー』|2026日韓歌王フェスティバル視聴記
「ゲンエキカオウ~歌姫~」の優勝者であり、圧倒的なカリスマ性を放つ日本の歌姫、BON.井上がステージに立つ。選んだ楽曲は、徳永英明の『レイニー ブルー』だ。
1986年に発売された徳永英明のデビューシングル『レイニー ブルー』は、日本のポップス史に燦然と輝き続けるバラードの名曲である。雨の降る街を舞台に、去っていった恋人の面影を追い求め、哀愁に浸る切ない心情が描かれている。「レイニー ブルー」というフレーズが繰り返される通り、降り続く雨(Rainy)と、憂鬱で切ない心の痛み(Blue)が見事に重ね合わされている。
この曲の最大の魅力は、徳永の持つ「少し重みのあるかすれた声でありながら、すっきりと突き抜けるような圧倒的に高い歌声」だ。サビに向けて感情が高まっていく歌声は、聴き手の胸を締め付けるような切なさを引き立てる。昭和の終わりに生まれた楽曲でありながら、古さをまったく感じさせない美しいメロディも特徴的だ。今なお日本の歌番組やフェスティバルなどで国境や世代を超えて愛され、歌い継がれているバラードの金字塔である。
そんな時代を超えて愛される名曲を、BON.井上は静かに、しっとりと歌い始める。その第一声から、息をのむほどきれいな歌声が響く。まるで「徳永英明の女性版」を思わせるような、繊細さと芯の強さを兼ね備えた響きだ。
「ふと足を止める」という歌詞に続く「レイニー ブルー」のフレーズでは、心地よく伸びやかに、感情を乗せてドラマチックに盛り上げていく。歌声はどこまでもクリアで、一言ひとことの歌詞がはっきりと心に届く。その圧倒的な声量と伸びやかな表現力に、聴き手はぐいぐいと引き込まれていく。
最後は、満面の笑みで右手を前方に差し出し、見事に歌を締めくくった。ステージが終わった瞬間、会場からは万雷の拍手と歓声が送られた。
投稿:2026年7月6日
安藤秀樹
